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2017年6月5日月曜日

漢字「安」の起源・由来:成熟した女性を大切にし、子孫繁栄を願った漢字


漢字「安」の起源と由来

 漢字「安」の起源・由来:成熟した女性が、個室で安心して生活できるように保証したことを示す

甲骨文字の生まれた時代は、父系制社会に移行する過程に在ったが、まだ母系制社会の生活習慣を残していた。成熟した女性が個室を持ち安心して生活することは、氏族共同体を護る基本であった。氏族全体で、女性を大切にし、子孫繁栄を願った漢字

 「安」の字は会意文字である。甲骨文字の「安」は上部は部屋の形状をしている。下部は部屋の中に膝まづいて、左に向いて座る女子である。金文の「安」の字の構造もまた部屋の中の女の字である。小篆と楷書の形体は甲骨、金文と同じである。但し楷書の建屋の形状は「内」に変化している。



「汉字密码」(P551、唐汉著,学林出版社)は、その理由はありと氏族共同体に解く
 何故女のいる部屋の中は「安」としたのか。「母系」社会の観点から見ると、発育して成熟した後の女性がもし自分の居所を持っていなかったとしたら、男性と野外で接合するだけで、居所もなく、生まれてくる子供があちこち逃げ回るだけとしたら、氏族全体に騒動をきたし混乱させてしまう。このために成熟した女性には自分の個室を与え、氏族全体の安寧とつつがなく暮らす様にさせるためだ。

白川静氏は「字統」のなかで、「安」を祖先を祭る寝廟の中で執り行われる儀式が、安静で、安寧であったことから発生した漢字と説明している。この一文だけで、評価は出来ないが、この説明ではウ冠(即ち屋内)のなかに女が配置されているという説明が不十分と思うのだが・・。
   「安」の本義は安定、平静である。安定から拡張して安穏や穏固の意味になり、《苟子•王霸》の「国安んじ、民憂うることなく」とは「国家安穏だと欠食・着るものにこと欠くことなく、庶民の不安定さを憂慮することもない。また安穏から引き出されて「安放、安置」がある。



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