2018年3月13日火曜日

漢字「鼠」の由来:鼠のデッサンそのまま


漢字「鼠」の起源と由来
 2018年3月大変なことが日本の政治の上で起こっている。国の根幹を揺るがす一大疑獄になっている。「公文書」が改竄され、その改竄された文書を元に、国会で答弁がなされ、やらずともいい討議が一年間も行われたことになる。
 公文書の改竄という犯罪行為がなぜ行われたのか。
 私は結論を言うと、この近畿財務局の下級官僚が、本省・行政府にたて突いた、「窮鼠猫を咬む」 という行動の結果ではないかとすら思えてくる。
 もともとなぜ疑惑がすぐにでもわかる文書を残したのか。私には、自分の意に反する汚い仕事をやらされた官僚たちが、「この汚い仕事は決して自分の意志でやったのではないのですよ。いろいろの口利きがあり、忖度があり、圧力がありの中で処理せざるを得なかった。それならば、できるだけ克明にいろいろの圧力を残そうと、公文書に書く必要のない事項まで公文書に残した」というのが真相ではないかと思ってしまう。

引用:「汉字密码」(P92、唐汉著,学林出版社)


「鼠」の成り立ちと由来
「鼠」は俗称「老鼠」という。また「耗子」ともいう。今日常々見かけるそれほど多くない動物だ。この種の小動物は尾は長く、門歯は特に発達していて、大変強い適応能力を持っている。図に見えるごとく、甲骨文字の「鼠」は横から見た図形で、頭の上の小さな点は鼠が食べたものの食べかすを表している。また古文中の小の字とも見える。 明らかに鼠の特徴であろう。金文と小篆の鼠は突出して歯をむき出した鼠の頭を表している。
 げっ歯類動物の特徴は余すところなく一覧で表現されている。


漢字の起源と成り立ち 「甲骨文字の秘密」のホームページに戻ります。

漢字「改竄(かいざん)の竄」の由来と成り立ち:原義はこそこそ逃げ回ること

漢字「竄‬」の起源と由来
 近頃、新聞紙上で、騒がれている「改竄(かいざん)」の「竄」について、考えてみよう。
引用:「汉字密码」(P93、唐汉著,学林出版社)

「竄」の由来と成り立ち
 [音読み]ザン [訓読み]のがれる かくれる
「竄」の字の漢字の成り立ちは、上部は洞穴の「穴」を表し、下部は「鼠」である。

 このことから「竄」の原義は、「鼠」がこそこそ逃げ惑うことである。後世になってようやく「鼠」の他の動物や人間の行為を一般的に指すようになった。

 



「竄」の使われ方
  •  「抱头鼠竄」は「ほうほうの体で逃げる。こそこそ逃げ失せる」とか、「流竄」(逃亡する、逃げ惑う)など等のごとくである。
  • 現在の使われ方の、「改竄」は「こそこそ隠れて改める、変更する」という意味だが、確かに「竄」の本来の意味はよく引き継がれている。

 因みに、ウィキペディアで「改竄」と引いてみると、

 改竄(かいざん)は、文書、記録等の全部又は一部が、故意もしくは過失により、本来なされるべきでない時期に、本来なされるべきでない形式、内容に変更されることをいう。悪意の有無を問わない。
となっており、文字の変遷が非常によくわかる。

簡体字化「竄」から「窜」への弊害
  繁体字の「竄」は画数も多く、簡体字化後の「窜」書きやすく覚えやすい。しかし、ここに簡体字化の弊害が現れているといえる。「鼠」を「串」とあらわすことで、「漢字は単なる記号ではなく、文字の持つ意味をも表現するという長所が失われてしまっているように思うのだが・・・」
 「鼠」という漢字は現在でもしっかりと使われているのに、「竄」の時になぜ「鼠」を「串」に変える必要があったのだろうか。


「漢字の起源と成り立ち 「甲骨文字の秘密」のホームページ」に戻ります。

2018年2月17日土曜日

オリンピックで感動を与えた羽生結弦選手の苗字の頭に戴く「羽」の成り立ちは?

漢字「羽」の起源と由来
引用:「汉字密码」(P79、唐汉著,学林出版社)


 「羽」は象形文字である。鳥類の翼の上の羽の羽毛が平たく並んでいる様子だ。右の図の羽の字を横に持ってきて、平らにおいてみると、絶好の象形になる。このことから「羽」即ち翼をいい、又羽毛を指す。鳥が木にとまる時両方の翼はわきに収め、身体を覆う。この種の状態もまた「羽」と呼ぶ。だから羽と組み合わせた文字は殆ど皆鳥の羽、翼と関係がある。「習、翔、翻、翼」などである。
 現代漢語中「羽」は鳥類の量詞になる。「一羽鸽子」(一羽の鳩)のごとくである。また矢の代名詞的なもの、古代には矢が飛ばせるときまっすぐでかつ揺れないように、矢の尾には皆羽が巻き付けられていた。
 成語で「负羽从军」は、弓矢を背負って軍に加わり戦争に行くことを指し、羽毛を着て戦いに赴くことではない。

 昔から羽を飾りに用いることが多いのは、単に美飾のためだけではなく、呪的な意味のあるものとされたからである、白川博士は「字統」の中で述べている。


「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

2018年2月12日月曜日

漢字「気」の成立ち:甲骨文字では初めは「三」と書いていた.

漢字「気」の起源と由来

引用:「汉字密码」(P266、唐汉著,学林出版社)


 甲骨文字中の「三」の字は形状は、一、二、三の三である。但し実際は気(qi)の字である。
 ここでは上下の二本の横線が天と地を表している。真中の短い横線は空気または気を表す。三千数百年前の殷商の先民は既に「気」という概念を認識していた。

 古人は[気]は宇宙を構成する万物の基本要素であると認識している。また人の精神的基本素因を構成する。それゆえ、"勇气、朝气、官气、娇骄二气の如く拡張して人の精神的状態となる。


 ところが、この「三」では余りに紛らわしいので、春秋戦国時代になって、気の字形は先ず上の横を曲げて書くようになった。また下の横線を湾曲させ手描いた。そして小篆の時になって、3つの横線を均しく曲げ、楷書はこの関係から气とかく。


「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

2018年2月10日土曜日

来年は「酉」年! 漢字「酉」の成立ち:元々酒瓶を模したのでは

漢字「酉」の起源と由来

「汉字密码」(P877、唐汉著,学林出版社)
読み方:(音) ユウ (訓) とり 
 酉は象形文字である。
 甲骨文字の酉の字と半坡遺跡から出土した底のとがった陶器のビンの形はよく似ている。
 この字は男根の「且」の字をあらわしている。これによって酉の字の本義は男の嬰児である。母を知るが、父を知らない母系社会で男子の血縁はせいぜい下に向かって下る辿る他ない。
  申と酉の字を互いに受け継ぎ、一つは女性の共祖、一つは男性の後代に対応している。(「申」を参照) 酉の字は早くから十二支の名前に借りてその本義を失っている。酉の字が構造的に酒瓶の酉の字に似ていて、男性の祖先(先王)に酒を祭り福を祈願することから、言葉が発生し転移し、十二支の酉と醸造の酉が混淆したものだ。


金文の酉
 金文の酉は既に完全に酒瓶の形状をしている。このことはこの時代には製陶技術が大きな発展をしたためである。酉瓶は既に酒を醸造するための瓶となり、酒盛りの専用器具となった。原本の酒の字は水の形を省いた後、酉となった。金文から小篆は変質し、楷書は酉と書く。   酉の本義は逆さまの「且」である。底のとがった陶器の瓶である。即ち器の皿として酉は「尊」の初めの文字である。酒を盛る器を示し、指事詞に用いられる。(「尊」は甲骨文字では、酒瓶即ち『酉』を両手でささげ持つ形をしている。)

酒を入れる器が「酉」となったのは、上古先民は男根信仰によるもの

 「酉」十二支の表示に仮借されて、十二支の10番目をあらわす。元々上古先民は男根信仰があり、酒を男根にささげていた。嬰児が大きく成長して、子々孫々絶えることなく栄えることを希求した。時間をあらわすと午後5時から7時を表す。酉は部首字で漢字の中では「酉」は組み合わせて、字を作る。酒と大いに関係がある。酝、酿、酔、醒などなど。
 この説明は、少しこじ付け臭いが、男根信仰は日本でも見られ、強ち否定は出来ない。 


「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

漢字「海」の成立ち:「水」と女性を顕す「毎」からなる会意文字

漢字「海」の起源と由来

引用:「汉字密码」(P300、唐汉著,学林出版社)



 「海」は説文では「天の池」という。百の川を納めるものを以って、水と毎の音声からなる。
 しかし海の字は形声字ではない。それは水と毎とで構成する会意文字である。
 「毎」は上古時代には、、氏族社会での年齢の最長で、多くの子孫を育て上げた女性を指す。毎を用いて海の組字の構成要件とするは、海に百の川を与えて天の池とする意味と無関係ではない。
 古人の印象では海は大地の尽きるところであり、而して大地は四角張って、大地の周りを取り囲んだ四辺には必ず四海がある。いわゆる海は拡張されて、大地の尽きるところになる。海は大地の縁の果ての外の水域と見られた時は海に接近する地方もまた海と見られた。
 漢の高祖劉邦の《大風歌》の中に、「大風起こり風雲揚す。威海内に加わり四方を守る。」ここの海内は四海が囲んだ中央の国土を指す。この意味から拡張して、海の字はまた「海関、海外、海口」の如く、国境を指す。
 現代漢語の中で、海は海海、里海の如く、大きな湖、庭園内の水池また大海碗の如く比較的大きな器皿或いは人、または事物が多く集積して広く集まった時も「雲海、学海、麦海などなどの如く海という。



「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

漢字「笑」の成立ち:竹かんむり(竹の鞭)に犬である。

漢字「笑」の起源と由来
「字統」では、巫女が手を上げ首を傾げて、舞い踊る様と説明している。
「漢字源」では、会意文字で、竹+夭(細い)で細い竹のこと。
唐漢氏は犬に竹ムチ打った時、犬が歯をむき出して唸るとしている。ここから笑いが出てくるのか少し変。
三者三様、どれがもっともらしいのっだろうか?

引用:「汉字密码」(P38、唐汉著,学林出版社)

色々の古文書の中の「笑」
 「笑」は笑は考古の出土から出る字は、「竹かんむりに犬」である。説文では、「竹に犬」と説明し、解釈して「喜び也。竹と犬からなる。」

 しかし後世の人が、これは解釈できないとして、竹かんむりに「夭」としたものだが、それを都合よく踏襲して今日に至っている。文字学としては、このような勝手気ままな改竄は受け入れられていない。事実考古出土の文字を見てみると笑の字は確実に竹と犬からなっている。

 かつて宋の時代、王安石は「字説」の中で、竹で犬を鞭して笑うとして、笑の字の源を解釈している。これに対し、苏东坡の「竹で馬を鞭すれば「篤」となるのか、竹で犬を鞭すればどうして笑いになるのか分からないという揶揄に会っている。しかし、王安石の解釈は漢字を要素に分解して解釈するときに、少し適用に勇み足があったものからくるのかも知れない。

 犬を鞭打てば、犬は硬く尾っぽを挟み、体を曲げ、歯をむき出し、威嚇の表情を示し、うなり声を上げる。
 人は大笑いする時は口を大きく開け、犬と同様に犬歯をむき出す。人は大笑いする時、体を曲げ、「ハハハ」の大きな声を出す。このことは犬に鞭打つ時と同じ様である。古人の生活観察の細かいことが逆に分かってしまう。

 古人の笑い声の中に純真さと痛快さがあり、彼らはその笑の中に偽善と抑圧の混ざるに至るまで成長して(掏れて)いない。古代の祖先たちは腹を抱えて腰を曲げて大笑いする除いては、・・後世の子孫たちが微かに歯を見せ、顔の一部を動かすのを笑いといっている・・「笑」を知らない。

 この説明には多少の無理があるように思うが、「竹に夭」より未だわかりやすいと思う。


「漢字の起源と由来ホームページ」に戻ります。